後ろ姿で語る男

今朝、起きたら11時過ぎでした…。うっ。
13時から慶ちゃんの舞台だっていうのにー!!
大慌てで準備して、家を飛び出し、開演が5分遅れたのをいい事に駆け込みセーフ。ふぅ。ひやひや。

その舞台でございますが、小山慶一郎 主演 ロスタイムライフ。
話の筋はドラマ版と近いけれど、もうちょっとシニカルになってました。アンフェアの要素がプラスされた感じ。
警察内部の隠蔽工作を暴くために、自ら犯罪者となろうとする老年刑事(古谷一行)と、ロスタイムライフでその刑事の犯罪を追い詰めてしまう事になる新米刑事(小山慶一郎)。
最後はお決まりのごとく、新米刑事の都並くんは死んでしまう訳ですが、その死に方というのが、ものすごくツライ。ドラマ版と似ているのですが、結局は老年刑事をかばって自分が銃弾に倒れるのです。

正直、こんなに気持ちが動くとは思っていませんでしたが、最後はポロポロと泣いてしまいました。
ロスタイムライフは、話自体は面白いもので、審判団とともに駆け回るのが印象的なお話ですが、舞台でも同様。客席を含めて会場を走り回り、審判員たちがぜーぜーとついてまわるという、そのコミカルさに笑わされ、死の直前というシチュエーションがもたらす影響で、最後はしんみり終わっていく。
2時間の中でのスピード感あふれる展開にも関わらず、登場人物が誰一人放っておかれず、丁寧に一人一人のキャラクターが作られていたので、話が非常にわかりやすく、前半から感情移入できました。

そして、終盤。古谷一行と慶ちゃんの二人の掛け合いになるのですが、このシーンがものすごく引き込まれました。話していくうちに互いの事を理解し合い、その中で都並くんは警察の真実に気づいていくのです。この流れで、自分の命をかけてでも老年刑事を救い出す事を決意する都並くんの心情を克明に描いていてるからこそ、ラストシーンで思わず涙が出てしまったんだと思います。
警察の腐敗を暴こうとしたため、テロリストのごとく扱われた老年刑事に扮装し、待ち受ける一斉射撃に正面から突っ込んでいくのです。都並くんが撃たれる不条理さや切なさや、やるせなさが、最後に見せる後ろ姿のシルエットにすべて詰め込まれていて、泣けてしまいました。

これは観てよかった。
去年、慶ちゃんのミュージカルを見て以来、慶ちゃんの舞台は一回は見たいと思うものになっているのですが、本当に彼は舞台映えする、いい俳優さんだと思います。
あー、楽しかった。