『牛乳』のトラウマ

硫黄の宣伝で「あさパラ!」に出たときの
「加瀬君、牛乳買うて来て!」
と言うリンゴネエサンの言葉は、恐るべき占拠力があったようで、硫黄島の清水でもなく、ハチクロの真山でもない、ごくごく普通の「加瀬亮=パシリ」という変な刷り込みがされてしまっているようです。

今日、メタメタ楽しみにしていた「哀しい予感」の舞台だったの。
それも千穐楽。

これは私が高校2年生の時に買ったものですが、その当時から本当に大切にしていた本であることがわかるように、ラッピングペーパーをわざわざ買ってきて、ブックカバーにしていたんです。
当時は今の比じゃないくらいに本を読んでいて、実家の床がたわむほどの小説があったのですが(2年前に全部処分したけど)、中でもお気に入りの物だけはこうやってブックカバーを自分で作り、さらに、予備校⇒短大⇒大学⇒社会人と居場所をアチコチ転々としても、ずーっと持ち回っているのです。
さらに、「哀しい予感」は「N・P」と並んで、私が大学の卒論でも取り上げた本であり(ちなみにテーマは「恋愛結婚の成立」。恋愛という感情を結婚という法律制度に組み込んだ歴史と、感情を法で縛ることによる矛盾を取り上げた)、思い入れが強いくらいにあるわけで。

加瀬君が演じたのは、主人公の弟の哲生。
姉の弥生にとって弟の哲生は「心の底で尊敬する」人であり、「もしも、人にもともとの魂が美しいということがあるなら、人としての品格が高いということがあるなら、それは哲生だね」と言わしめるほどの気高さと強さと誇りを持つ人。
だから、弥生にとって哲生は恋愛感情にいたらないけれど、普通ではないくらいに仲が良く、その存在感は絶対なもの。

まぁ、私にとっては、この哲生という役は「並々ならぬ思い入れの塊」なわけですよ。
で、加瀬君はとっても好きな役者さんなので、相当な期待をしていたのですが、件の
「加瀬君、牛乳買うて来て!」
と言われたイメージを払拭できずに、そこで葛藤することになってしまい・・・。
多分、ものすごく作ってない加瀬君だったからな気がします。
清水も真山もめちゃめちゃ作った役だったから。
とはいえ、やっぱりホンモノの加瀬君はステキでした。
あの華奢な体型とか、細い首とか、儚げな雰囲気が漂っていて、感情が沸きあがったとき自然とこぼれた涙に、きゅっと気持ちが掴まれた気がしました。

ばななさんのあの世界、、、独特の台詞まわしとか、描写の美しさとか、不安定すぎるくらいな人物たちとか、、、自分が没頭してしまう空気がそこに溢れてて、それはやっぱり、居心地がいいなと思いました。
市川実日子ちゃんの弥生の空気がすごいよかった。
多分、あのどこか浮世離れしたような表情とかが、押し寄せる感情の波に戸惑う弥生にはまっていたと思います。

えっと、もうちょっと書きますが、伏せます。


 

バカのたわごとだと、読み流ししてもらえるとありがたい。

実は、「哲生はニノでやってもらえないかな〜」なんて、思ったりしました。
ニノが「もしも、人にもともとの魂が美しいということがあるなら、人としての品格が高いということがあるなら、それは哲生だね」と言われる人物そのものであると言う、、、のではなく、そういう「見た人が感覚的にその人物の事を納得してしまうだけの説得力」がある人物というのをやれる気がするのです。つまり、「ある種のカリスマ性のある人物」っていうのを演じる説得力というか。
ピカ☆ンチのタクマも、理由のジムもそういう人物であり、そして哲生に関して言えば、若干、世の中を見下した(見え過ぎている)ところがあるため、その辺は持ち前のものでもいけるかと。

いや、はい。
タワゴトです。